大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 昭和54年(わ)34号 判決

本店所在地

名古屋市中区栄二丁目二番二五号

法人の名称

株式会社ササヤ商店

代表者の住居

名古屋市中区栄二丁目二番二五号

代表者の氏名

佐藤英一

本籍

名古屋市中区錦三丁目三〇番地

住居

同市中区栄二丁目二番二五号

会社役員

佐藤栄一

大正三年一月一三日生

右株式会社ササヤ商店及び佐藤英一に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官藤田昇三出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告会社株式会社ササヤ商店を罰金七〇〇万円に、

被告人佐藤英一を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人佐藤英一に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社ササヤ商店は、名古屋市中区栄二丁目二番二五号に本店を置き、袋物販売業を営むもの、被告人佐藤英一は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人佐藤英一は、被告会社の業務に関し、同会社の法人税を免れようと企て、

第一  昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七、一五七万四、〇七五円で、これに対する法人税額が二、七三五万八、八〇〇円であるのにかかわらず、売上の一部を除外し、簿外の割引債券及び貸付信託を設定するなどして所得の一部を秘匿したうえ昭和五一年二月二七日、名古屋市中区三の丸三丁目三番二号所在の名古屋中税務署において、同税務署長に対し、被告会社の所得金額が三、六三一万六、一六三円で、これに対する法人税額が一、三二五万八、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて右不正の行為により正規の法人税額との差額一、四一〇万三〇〇円の法人税を免れ、

第二  昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七、三三七万九、〇五五円で、これに対する法人税額が二、七八七万二、九〇〇円であるのにかかわらず、前同様の方法で所得の一部を秘匿したうえ、昭和五二年二月二八日、前記税務署において、同税務署長に対し、被告会社の所得金額が三、六八一万三、五九八円で、これに対する法人税額が一、三二四万九、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて右不正の行為により正規の法人税額と右申告税額との差額一、四六二万三、六〇〇円の法人税を免れ、

第三  昭和五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五、八〇八万一、〇四五円で、これに対する法人税額が二、一四五万一、九〇〇円であるのにかかわらず、前同様の方法で所得の一部を秘匿したうえ、昭和五三年二月二八日、前記税務署において、同税務署長に対し、被告会社の所得金額が四、一九三万七、八三八円で、これに対する法人税額が一、四九九万六、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて右不正の行為により正規の法人税額と右申告税額との差額六四五万五、四〇〇円の法人税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、被告人佐藤英一の当公判定における供述

一、被告人佐藤英一の検察官に対する昭和五四年一月一〇日付供述調書(検察官請求証拠等関係カード(乙)記載の証拠番号15のもの。以下(乙)15のように略記)

一、佐藤英男の検察官に対する供述調書

判事冒頭の事実につき

一、登記官作成の株式会社登記簿謄本

判示第一ないし第三の各事実につき

一、被告人佐藤英一の検察官に対する昭和五四年一月一〇日付((乙)16)及び同月一二日付各供述調書

一、被告人佐藤一作成の上申書((乙)14)

一、今泉泰次、畠中亮吉(二通)の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、大蔵事務官藤具貞作成の証明書(検察官請求証拠等関係カード(甲)記載の証拠番号21のもの。以下(甲)21のように略記)

一、国税査察官的場秀文作成の昭和五三年一一月七日付査察官調査書

一、大蔵事務官宮内正俊作成の脱税額計算書説明資料一冊

一、藤川五郎作成の割引債券申込書等写一冊((甲)6)

一、鈴木久昭作成の顧客カード等写及び貸付信託収益配当金明細表等写各一冊

一、若林卯太郎作成の証明書

一、倉富昇一郎作成の貸信決算収益金未払明細表等写一冊

一、畠中亮吉作成の上申書二通

一、水野新一作成の上申書

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官藤具貞作成の証明書二通((甲)1及び(甲)34)

一、若林卯太郎作成の貸付信託受払伝票等写一冊

判示第二及び第三の各事実につき

一、国税査察官的場秀文作成の昭和五三年一一月一七日付査察官調査書

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官藤具貞作成の証明書二通((甲)2及び(甲)35)

判示第三の事実につき

一、大蔵事務官藤具貞作成の証明書二通((甲)3及び(甲)36)

一、大蔵事務官西岡和彦作成の臨検てん末書

(法令の適用)

被告会社株式会社ササヤ商店の判示各所為はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項に、被告人佐藤英一の判示各所為はいずれも同法一五九条一項、二項に各該当するが、被告人佐藤英一の判示各罪につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告会社及び被告人佐藤英一の判示各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で、被告人佐藤英一については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加算をした刑期の範囲内で、被告会社を罰金七〇〇万円に、被告人佐藤英一を懲役一〇月にそれぞれ処することとし、情状により同法二五条一項を適用して、被告人佐藤英一に対しこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 高橋省吾)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例